お金に追われた日々と、お金と和解するまで
私がお金とどう付き合ってきたか、その失敗と回復の話を書きます。お金の話は、なかなか人にできません。だからこそ、匿名のこの場所で、正直に書いてみたいと思いました。長くなります。なお、これは私個人の経験で、誰かにすすめるものではありません。お金のことで本当に困っている方は、自治体や公的な相談窓口に相談してみてください。
二十代の私は、お金のことを何も考えずに生きていました。給料が入れば使い、足りなければカードで払う。カードの請求が来ても、リボ払いにすれば毎月の支払いは少なくて済む。そんなふうに思っていました。友達と飲みに行くのも、ブランドの服を買うのも、旅行に行くのも、全部カードでした。毎月の請求額が増えていくのは知っていました。でも、見ないようにしていました。
二十八歳のとき、カードが使えなくなりました。限度額に達していたんです。初めて、きちんと明細を見ました。借りている総額を見て、血の気が引きました。年収の半分以上の額でした。毎月払っていた金額のほとんどが、利息に消えていたことも、そのとき初めて知りました。
その夜は、一睡もできませんでした。どうしよう。誰にも言えない。親に知られたら、何と言われるか。友達に知られたら、軽蔑される。頭の中で、最悪の想像ばかりが膨らんでいきました。
それから一年ほど、私は誰にも言わずに、一人で何とかしようとしました。食費を極限まで削って、飲み会は全部断って、休日はアルバイトをしました。でも、借りた額が大きすぎて、利息を払うだけで精一杯。元金はほとんど減りませんでした。体重は十キロ減って、いつも疲れていて、職場でもミスが増えていきました。
ある日、職場の先輩に、「最近、顔色が悪いよ。何かあった?」と聞かれました。いつもなら「大丈夫です」とごまかすところでした。でも、その日はなぜか、ぽろっと本当のことを話してしまいました。先輩は驚いた顔をしましたが、責めることはしませんでした。そして、「一人で抱えないで、専門の相談窓口に行ってみたら」と言ってくれました。
自治体の相談窓口に行くまでに、また一か月かかりました。恥ずかしくて、怖くて、何度も予約の電話をかけようとしては、やめました。ようやく相談に行った日、担当の人は、私の話を最後まで黙って聞いてくれました。そして、「ここまで一人でよく頑張りましたね」と言いました。その言葉を聞いて、相談室の中で泣いてしまいました。
相談窓口では、私の状況に合った解決の方法をいくつか教えてもらいました。専門家につないでもらい、返済の計画を立て直しました。毎月の返済額は、無理のない範囲に。それでも、完済までには何年もかかる計画でした。でも、終わりが見えるようになっただけで、気持ちはずいぶん楽になりました。
そこから、私のお金との付き合い方は、少しずつ変わっていきました。まず、カードを解約しました。それから、家計簿をつけ始めました。最初は、何にいくら使っているかを記録するだけ。一か月分を見返すと、コンビニでの小さな買い物が、思っていたよりずっと多いことに気づきました。疲れた帰り道に、なんとなく買うお菓子や飲み物。一回は数百円でも、積み重なると大きな額になっていました。
私がお金を使っていたのは、たぶん、寂しさや疲れを埋めるためだったんだと思います。何かを買うと、一瞬だけ気分が上がる。でも、すぐにまた空っぽになって、また何かを買う。その繰り返しでした。そのことに気づいてから、疲れたときや寂しいときは、買い物をする代わりに、散歩をしたり、友達に電話したりするようにしました。最初はうまくいかなかったけれど、少しずつ、お金を使わずに気持ちを整える方法が増えていきました。
返済は、五年かかりました。その五年間は、決して楽ではありませんでした。友達が旅行の話をしているとき、新しい服を着ているとき、うらやましくてたまらなかった。でも、毎月の返済をするたびに、残りの額が減っていくのを見るのは、小さな達成感でもありました。
最後の返済をした日のことは、今でもはっきり覚えています。振込を終えて、銀行の外に出ると、とてもいい天気でした。空が、やけに青く見えました。その足で、近所のケーキ屋さんに行って、ケーキを一つだけ買いました。五年ぶりに、自分のためだけに使ったお金でした。そのケーキの味は、一生忘れないと思います。
今、私は四十代です。お金持ちではありませんが、毎月少しずつ貯金ができるようになりました。家計簿は、今も続けています。お金を使うときは、これは本当に必要なものか、それとも寂しさを埋めるためのものか、一度立ち止まって考えるようにしています。
あの先輩には、今でも感謝しています。あのとき、先輩が声をかけてくれなかったら、私はまだ一人で抱え込んでいたかもしれません。数年後、先輩が別の部署に移るとき、お礼を言いました。先輩は、「私は何もしてないよ。相談に行ったのは、あなた自身でしょ」と笑っていました。
お金のことで悩んでいる人は、きっと、誰にも言えずに一人で抱えていることが多いと思います。私もそうでした。恥ずかしくて、情けなくて、誰にも言えなかった。でも、一人で抱えていても、状況はよくなりませんでした。勇気を出して相談したことで、ようやく道が見えました。もし今、同じように苦しんでいる人がいたら、どうか、自治体や公的な相談窓口を頼ってください。あなたを責める人は、そこにはいません。
長い文章を読んでくださって、ありがとうございました。
読んで、感じたことがあれば
押した数は、ボタンの横に小さく表示されます。だれが押したかは表示されません。